数の少ない

マコト 不問


ミヅキ 不問


飲酒、喫煙、ドラッグ等出てきますが推奨しているわけではありません。


―――――――――


ミヅキ「で?」


マコト「で?って?」


ミヅキ「いや、呼び出したのマコトじゃん」


マコト「……たしかに」


ミヅキ「え、若年性アルツハイマー?しっかりしてよ?ねぇ」


マコト「誰がアルツハイマーだよ、失礼な」


ミヅキ「いやぁ、だって呼び出されて来たのにまさかの反応するから」


マコト「それは、…うん、ごめん」


ミヅキ「え、なに…なんか素直すぎて気持ち悪、」


マコト「辛辣すぎね!?」


ミヅキ「辛辣さはご愛嬌ぅーってことで、問題は本題なんだってば」


マコト「本題」


ミヅキ「そう。わざわざこんな廃れた公園呼び出してさぁ、なんかあるんでしょ?話が」


マコト「大層な話でも無いんだけどな」


ミヅキ「…帰ろうかな」


マコト「あー!嘘です嘘ですごめんなさい!」


ミヅキ「はぁーーー………。んで?なによ」


マコト「……えっ、とー…」


ミヅキ「煮え切らないな、…ほんっっとに帰るよ!?」


マコト「やっ、あの……あー…」


ミヅキ「もうね、その如何にも『なんかあります』的態度!それが腹立つ!今更隠し事とかする仲でも無くない?」


マコト「…ほんっとに?」


ミヅキ「はぁ?」


マコト「ほんとに、何言っても引かない?」


ミヅキ「今更、マコトが実はアブノーマルな性癖を持ったド変態でしたーとか言っても引きゃしないっての」


マコト「言い方……!!!」


ミヅキ「…ほれ。さっさと吐け!」


マコト「……同性愛ってどう思う」


ミヅキ「…………………」


マコト「……」


ミヅキ「……はぁあ?」


マコト「な、、はぁあ?っていや、はぁっ?!え?そんな変なこと聞いた?!」


ミヅキ「いや、なんとなく……え?待って待って?もう1回」


マコト「だから、……その、同性愛ってどう思う?って」


ミヅキ「それを聞くってことは、マコトがそうだってこと?」


マコト「…う、」


ミヅキ「ってか、そうじゃなきゃこんな事聞くはず無いし、そういうことなんでしょ。……はぁ、そうかぁー…」


マコト「…引く?」


ミヅキ「え?いや、別に」


マコト「へ!?」


ミヅキ「えっ、引いて欲しかった?」


マコト「…引くと思ってた」


ミヅキ「えー……だって、別に人それぞれじゃん?引くこと、ある?」


マコト「だって、」


ミヅキ「それはマコトの『個性』じゃん?人の個性にとやかく言わないって」


マコト「ミヅキ……」


ミヅキ「…というか、引くと思われてた事が若干悲しいんですけど。そんなに偏見の塊に見えますかねぇ」


マコト「そういう訳じゃ、ない、けど……」


ミヅキ「けど、なによ」


マコト「…思われても、仕方ないっていうか…」


ミヅキ「マコトは間違ったことしてるわけ?自分が同性に恋愛感情抱くこと恥ずかしいとか思ってんの?」


マコト「ちが、そうじゃ……」


ミヅキ「んじゃあ、後ろめたい気持ち、持つことないよ。別に誰にも迷惑掛けてないし、それで良くない?」


マコト「……お前、案外良い奴…」


ミヅキ「殴るよ?なに、案外って。」


マコト「さーせんした。…いや、多いじゃん、偏見持った人、とかさ」


ミヅキ「だーかーらー。そんなんと一緒にするなっての。心外。むしろそれで偏見の目を向ける奴気にしてどうすんの、生き辛くない?」


マコト「そりゃ、隠したりしなきゃなんないのは、たまにキツイけど…」


ミヅキ「そこよ」


マコト「へ?」


ミヅキ「大体、なんで隠さなきゃなんないのか、それが分かんないんだよねぇ」


マコト「……ん?」


ミヅキ「同性愛の何が悪いわけ?マイノリティだから?」


マコト「おま、…マイノリティとかよく知っ、いたっ」


ミヅキ「殴るよ?」


マコト「も、もう殴ったあとじゃん…!!」


ミヅキ「セクシャルマイノリティ、っていうんでしょ。それくらい知ってますぅー。大体ね、少数派だからって偏見に晒されるのがおかしいんだよ」


マコト「それがまかり通る世界じゃないからこうなんだろ」


ミヅキ「おかしいよねぇ」


マコト「まぁ、たしかに」


ミヅキ「逆にさ、世界が同性愛者が多くて異性愛者が少なかったら、異性愛者のほうが叩かれるんだろうね」


マコト「…世論、ってやつ?」


ミヅキ「そうそう。多数決なんだよね、皆さ。周りがおかしいって言ってるからおかしいんだーって。便乗じゃん」


マコト「……暴論気味じゃね?」


ミヅキ「そんなことなくない?だってさー……煙草だって酒だってそうじゃん?吸う人、飲む人が多いから世間的には合法、オッケーってなってるけど、実はさ」


マコト「うん?」


ミヅキ「煙草より大麻の方が依存性ないとか知ってた?」


マコト「え、まじで」


ミヅキ「マジで。でも大麻はすっごいダメな物扱いじゃん。煙草の方が危険なのに。おかしくない?」


マコト「煙草を吸う人が多いから…ってこと?」


ミヅキ「だと思うよ。100人中80人が正しいって言ったら、他の20人意見負けするじゃん。」


マコト「そうかなぁ………」


ミヅキ「んじゃあ、マコトの周りはみんな大麻吸っててさ、煙草吸ってるマコトをおかしいってみんなが言ったら?」


マコト「……居心地悪い」


ミヅキ「でしょ?でも、今の世間ってそんな感じ。少数派の意見はおかしいって言われるんだよ」


マコト「んー…?」


ミヅキ「お酒を飲んでる人が少なかったら?煙草吸ってる人が少なかったら?ドラッグやってる人が多かったら?全部今と逆の世界になると思わない?意見が多ければ多いほど、正しく見られるっておかしいと思う。逆に少ないからって偏見の対象になるのもおかしいんだよ。意見が違う人がいたっていいじゃん。皆と違う事は個性でしょ?その個性を潰しに掛かる意味がわっかんない」


マコト「ミヅキは、そうかもだけどさ」


ミヅキ「マコトは違うの?いいの?おかしくないのに、少ないだけでおかしいって思われて悔しくないの?腹立ったりしないの?」


マコト「そりゃ、するさ。するけど……うん、」


ミヅキ「でしょ?んじゃあ堂々としてたらいいじゃん。同性が好き。それが何かおかしいこと?人が人を好きになっただけでしょ?負い目なんか感じる事ない。そんなビクビクする理由、ないんだからさ」


マコト「だから、痛いっての……いちいち叩くな!」


ミヅキ「あっはははは、んー。まぁさ、言いにくかったと思うよ。けど話してくれてありがとね」


マコト「……べ、つに」


ミヅキ「話してくれたっ、てことはさ。理解して欲しかったってこと?」


マコト「ミヅキには、隠し事したくなかった、っていうか」


ミヅキ「……マコト、もしかして」


マコト「好きじゃないから」


ミヅキ「まだ何も言ってないのに振られた」


マコト「いや、……ええぇ…」


ミヅキ「冗談、冗談。嬉しいよ、でも。隠したくないって思えるくらい、大事に思ってくれてるってことっしょ?」


マコト「……まぁ、腐れ縁ですし」


ミヅキ「かーわーいーくーなーいーなー」


マコト「可愛くなくて結構」


ミヅキ「うっわ、益々可愛くない!」


マコト「だからぁ!」


ミヅキ「腐れ縁でもなんでも、親友だって思ってるもん。だから、ありがとう」


マコト「……ん。」


ミヅキ「……あのさ」


マコト「なに?」


ミヅキ「…聞いていい?」


マコト「…なにを?」


ミヅキ「…今恋人は?」


マコト「…………」


ミヅキ「………」


マコト「居たらお前と居ないと思うけど」


ミヅキ「だよね!?だよねぇー!」


マコト「なんっっか、その答えはそれはそれで腹立つ……」


ミヅキ「ねぇねぇ、出来たら紹介してよ?」


マコト「は!?なんでミヅキに」


ミヅキ「大親友の恋人だよぉー?そりゃあ、品定めしないと」


マコト「……お前の品定め、だるそー」


ミヅキ「そりゃ、大事な大親友だからねぇ」


マコト「なんか、段々グレードアップしてってない?」


ミヅキ「…そ?」


マコト「うん」


ミヅキ「まぁまぁ、細かい事は気にすんな。約束ね、恋人出来たら紹介して!」


マコト「……へいへい。出来たらな」


ミヅキ「あー……性格的な問d」


マコト「お前にだけは言われたくない」


ミヅキ「…ふは」


マコト「…なに」


ミヅキ「まぁー、なんていうの。いきなり全部は変えらんないのは分かってるけどさ、マコトみたいに、人と違う事で悩んでる人とかが、もっと個性を出して生きて行きやすい世界になったらいいね」


マコト「…そう、だな。まぁミヅキみたいに偏見を持たないでいてくれる人が居る、って分かって良かった。居るだろうなってのはあっても、近くにそういう人がいるだけでなんとなく、心が軽くなるっていうか、さ」


ミヅキ「10年後でも20年後でもさ、差別とか、偏見とか……そういうので傷付く人が少なくなればいいなー…。何か出来るわけじゃないけどさ、こういう個性大事だよ、って発信出来たら少しは変わっていくのかな」


マコト「わっかんね。今それをして、余計に傷付くかもしれない。けど……動かないでいつかを待ってても、意味ないんだよな…」


ミヅキ「勇気出してくれて、ありがとね。もしマコトを馬鹿にするやつがいたら、殴り込みに行くくらいはしてあげるよ」


マコト「暴力はんたーい」